【ベーシック公差設計 第1回】トータルコストを考える

 読者の皆さんは公差をどのように設定しているだろうか? 従来の類似部品に設定していた公差をそのまま使っていたり,KKD(勘,経験,度胸)から適当に決めてしまっていたりしないだろうか。
 設定した公差の値は,製品のコストや性能,品質─といったことに大きく影響する。このため,公差設計に関する技術力を高めることが,ひいては製造業の競争力の向上につながるといっても過言ではない。
 本コラムでは,公差設計の基本的な考え方や進め方について説明していきたいと思う。今回は公差設計の位置付けと効果,および現実的な公差を設定できる統計的な手法を取り上げる。(以下,「日経ものづくり」2008年1月号に掲載)

図●公差設計のPDCA
図●公差設計のPDCA
公差の値を決める「Plan」,公差情報を図面上に正しく表現する「Do」,製造側の実力(工程能力)を確認する「Check」,これらを評価して次の製品における公差設計に反映させる「Action」─を繰り返していくことで,公差設計の実力が向上していく。