連載の第2回では,「強い特許」を取得するための具体的な手順を解説する。技術者が発案したアイデアを基に技術課題を可視化し,解決策を見つけてから出願する点が特徴である。課題や解決策を見いだす上で有効な思考方法についても紹介する。(木村 雅秀=本誌)

龍華 明裕
RYUKA 国際特許事務所 所長

 今回は,技術者が持っている初期のアイデアを特許出願につなげる手法を紹介する。強い特許につながる発想であっても,初期の発想は文章にすると,たった1行で終わってしまうことも多い。こうした「1行の発明」を救い出し,特許の明細書に仕上げるためには,アイデアを膨らませる検討が欠かせない。この検討作業は,発明が得意な技術者にとっては本当に面白いものである。ただ,技術者の話が発散すると,従来技術の情報共有や,細かい設計的な事項の話に時間が奪われるので,発明の生産性はかえって低下する。このため,話を発散させずに技術者から知恵を発掘するための手順が重要である。