日経ものづくり 私が考えるものづくり

日経ものづくり 私が考えるものづくり  うちの会社にいつもtoo much technology orientedなんて文句言ってるんですけど,テクノロジーを 深掘りするだけではせっかくのものづくりを生かすことができないと思っています。テクノロジーが縦の構造とすれば,横はマーケット。例えば自動車,エレクトロニクス,食品,あるいは住宅といったものですね。縦と横の両方を見ながら進んでいかないと,というのが基本的な持論なんです。
 そのとき縦は何を志向するかっていうと,取りあえずは「秘伝のたれ」ですね。焼き鳥のたれとか,訳分からないけどうまいっていう要素のあるものでないと。化学調味料などを混ぜ合わせれば誰でもできる,っていうような簡単なものは,うちみたいな会社は本当はやらない方が望ましいのかなと思います。
 三菱化学メディアの社長だったころ,光ディスクやDVDで実行していたビジネスモデルは,色素を握ってビジネス全体をコントロールするというものでした。光ディスクもDVDもポリカーボネートの上に色素を塗るだけでできる,いわゆるモジュールタイプ(組み合わせ型)なんですけれども,基本的には色素が秘伝のたれのように全体を左右する。標準化を進めて,この色素を使わないとこのDVD-Rの標準に合致する特性が出ないとかね。(以下,「日経ものづくり」2007年11月号に掲載

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