雑誌 特集

着想脳

田野倉 力
2007/10/29 18:45
 
日経ものづくり 特集

 皆さんは,日本という国をどのようにとらえていますか。食糧自給率はカロリーベースで40%もない。エネルギ自給率はもっと低くて10%にも満たない。原子力を入れても25%。日本は基本的エネルギに乏しい国です。
 では,そこで我々日本人はどうやって生きていくのか。広い意味での知的な付加価値を生み出すしかない。イノベーションです。
 イノベーションがどのように生み出されていくのか。脳科学の立場から見ても非常に興味深い問題で,私たちは大きな関心を持って研究しています。ですが,正直申し上げて非常に難しい。イノベーションが起こるプロセスは,コンピュータ・ネットワークというよりも,あのチャールズ・ダーウィンの生物進化のシナリオに近い。(以下,「日経ものづくり」2007年11月号に掲載



 「体を使うのは私たちだけど,頭を使うのは全部こっちの人たちね」。東芝家電製造(本社大阪府茨木 市)愛知工場でランドリー技術部部長を務める今井雅宏氏はそう言って,隣に座る東芝コンシューママーケティング(本社東京)家電事業部リビングソリューション部商品企画担当主任の西脇智氏を指さして笑う。今井氏は洗濯乾燥機設計などの技術者で,西脇氏は「未来の家電に活用する要素技術」を開発する技術者。東芝家電製造は東芝コンシューママーケティングの関連会社である。(以下,「日経ものづくり」2007年11月号に掲載


図●新商品で採用した除菌・消臭の仕組み
エアコンサイクルドラムでは採用しなかった「水を直接掛けてコンデンサを冷やす」方法 を採用。掛けた水をそのまま排出するともったいないので,ニオイ分子を吸着させて庫 外に出すことにした。



 千葉工業大学未来ロボット技術研究センターの中に,多くの企業との共同研究を理由に人の出入りを厳しく管理している一室がある。許可を得て中に入ると,目に飛び込んでくるのは住宅のフローリングの床。「実は,この下が実験場なんです」と説明してくれたのは,同センター副所長の小〓栄次氏。同氏ら千葉工業大学と筑波大学,そして大和ハウス工業の3者で,2008年4月以降の実用化を目指して「住宅床下点検ロボット」を開発している真っ最中なのだ。(〓:「木」偏と「おおざと」偏の間に「夕」)(以下,「日経ものづくり」2007年11月号に掲載


図●被災地の土管の中の映像



 IHジャー炊飯器やななめドラム洗濯乾燥機などのヒットメーカーとして知られる,松下電器産業松下ホームアプライアンス社クッキング機器ビジネスユニットビジネスユニット長の宮井真千子氏。彼女の持論は,いろ んな人がいた方が絶対に強い商品ができる─。いろんな人がいた方がアイデアが広がるというわけだ。(以下,「日経ものづくり」2007年11月号に掲載


図●新旧のIHジャー炊飯器
(a)1988年発売の1号機。おいしく炊くことと同時に,保温による味や色,炊飯時間の短縮といった課題も解決した。 (b)2007年発売の最新機。宮井氏は, 「1号機以来,科学にのっとって開発している点は全くブレていない」と胸を張る。



 「2号機ではこんなところに問題があったよね」「3号機ではここを工夫すれば省力化が図れるんじゃな いかな」─水曜日の午前。軸受やボールねじ,モータなどの機械要素部品を製造する日本精工(本社東京)藤沢工場の会議室で,若い技術者たちが自分たちだけで開発するロボットについて意見をぶつけ合っていた。同社メカトロ技術開発センター先端研究開発部の飛田和輝氏,嵯峨山功幸氏,小川博教氏の3人である。(以下,「日経ものづくり」2007年11月号に掲載


図●四脚車輪型ロボット「NR002」
全長450×730×750mm,質量54kg。顔部分に仕込まれた距離センサとカメラで階段を検出し,画像処理 結果を統合して段差を検出。脚にはそれぞれ力センサが入っており,接地を検出する。



 「新しいアイデアなり独創的なアイデアなりを生み出すには,少なくとも二つ以上の技術分野に対する知識や技術を持つことが,思考を柔軟にする上でも重要だ」。こう語るのは,神戸製鋼所技術開発本部電子技術研究所電子応用研究室主任研究員の高松弘行氏だ。同氏は入社以来,光(レーザ)応用計測技術に一貫して取り組み,光熱変位計測法を確立した。(以下,「日経ものづくり」2007年11月号に掲載


図●光熱変位計測法を応用した半導体ダメージ評価装置
イオン注入やプラズマエッチングなどにより生じたダメージは,熱伝導状態を変化させる。そこにレーザ光を断続照射すると,ダメージの大きさが熱膨張振動の振幅の差となって現れる。この装置では,その振幅からイオン注入量を測定する。



 TOTOが2007年8月1日に満を持して投入した「ウォシュレット」一体形便器「ネオレストハイブリッド」シリーズ。同社史上最高傑作をうたうその便器には,(1)大便時の水の跳ね返りを防いだり検便しやすくしたりするための水面を下げる機能(2)新開発の釉薬を用い便器表面を100万分の1mm単位でツルツルに制御すると同時に,表層にイオンバリアを形成して掃除を楽にする防汚技術「セフィオンテクト」(3)身障者が手ではもちろん,頭でもひじでも押せるように使い勝手を高めたリモコン「フラットリモコン」─など,創立90周年を迎えた同社のノウハウが満載されている。(以下,「日経ものづくり」2007年11月号に掲載


図●ハイブリッドエコロジーシステム



 1923(大正12)年創業の白元(本社東京)は, 「アイスノン」「ホッカイロ」「ミセスロイド」などのロングセラー商品で知られるトイレタリー・メーカー。1998年ごろから新商品を次々と発売し,老舗メーカーからヒットメーカーへと転身した。
 きっかけは,現在社長で当時は取締役マーケティング部部長だった鎌田真氏の存在だ。1991年に入社。2年間の米国留学を経て同部に配属になった鎌田氏は,メンバーたちの意識の低さに驚いたという。(以下,「日経ものづくり」2007年11月号に掲載


図●成功事例となった「レンジでチンする湯たんぽ ゆたぽん」(a)と「風水彩香」(b)




 「マニュアル的なやり方では,良い発想が生まれない」。トヨタ自動車デザイン本部でグローバルデザイン 統括部長を務めるSimon Humphries氏はこう断言する。
 その理由は簡単。メンバーによって着想のプロセスが異なるからだ。例えば,就業時間のすべてをきっちり使った方がアイデアを出しやすい者もいれば,普段は何もしていないようで,あるとき突然,火が付いたようにたくさんのアイデアを出す者もいる。これを一律に統制しても「かえって頭が固くなってアイデアが出なくなる」(Humphries氏)だけだ。(以下,「日経ものづくり」2007年11月号に掲載


図●十字マップ(a)を使ってレクサスのフロントデザイン(b)のコンセプト「毅然」を導き出した



 心理学者の内藤誼人氏は『イマドキ部下を伸ばす上司学』(PHP研究所)や『絶対相手にYESと言わせ る心理作戦』(ベストセラーズ)など, 「日常で使える心理学」をテーマに数多くの書籍を執筆している。
 執筆のペースは200ページ強の書籍を平均月1冊。交渉術や出世術などのビジネス向けから恋愛向けまで,多種多様な内容を手掛ける。それだけ多くの着想が必要になるはずだが「仕事に費やす時間は1日4時間程度」(内藤氏)と苦心している様子はない。(以下,「日経ものづくり」2007年11月号に掲載


図●仕事を効率的にこなせるバイオリズムの一般的な例

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