日経オートモーティブ 連載

最新センサ詳解 第5回

信頼性・耐久性高めた
電動パワステ用センサ

EPS(電動パワーステアリング)は当初、排気量の少ない軽自動車で利 用することを想定して開発したものだった。最近では排気量5.0Lの車 両に搭載されるまで利用範囲を広げ、存在感を強めている。EPSのト ルクセンサの最新動向と検出原理を述べる。

ジェイテクト
ステアリング事業本部第1電子技術部長
森 豊


 EPS(電動パワーステアリング)は、 ドライバーが加えたステアリングホイ ールの回転トルクを電磁気的に測定 し、足りないトルクをモータでアシス トするシステムである。
 EPSのユニットは、ステアリングシ ャフトの中央に配置してある(コラム 式の場合)。同ユニットは、ステアリ ング側の入力軸と、タイヤ側の出力軸 とに分けて、これらを“トーションバ ー”と呼ぶ金属製のばねでつないでい る。ドライバーがステアリングホイー ルを回転させると、トーションバーが 物理的にねじれる。トルクセンサは、 トーションバーのねじれ角を電磁気的 に測定する機構である(図)。
 ドライバーがステアリングホイール を回転させると、入力軸と出力軸の回 転にずれが生じ、トーションバーがね じれる。入力軸はステアリングホイー ルの回転と同期している。トーション バーも入力軸と同期して回転する。し かし、出力軸はタイヤと路面の摩擦が あることから、入力軸の回転に対して 遅れて回転し、トーションバーにねじ れが発生する。

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EPSの構成とトルクセンサ
コラム式の場合は、ステアリングシャ フトの中央にEPSのユニットが配置 されている。ステアリングシャフトの 入力側と出力側をつなぐトーションバ ーのねじれをトルクセンサで検出する。