かつてマツダが世界に先駆けて量産化した ミラーサイクルエンジン。 その系譜が新型「デミオ」に引き継がれた。 機構も狙いも大きく異なる今回の開発だったが、 冷間始動性の確保や排ガスのクリーン化には過去の経験が生きた。
マツダが2007年7月に全面改良した
「デミオ」で自然吸気ミラーサイクルエ
ンジンの開発を担当した、パワートレ
イン開発推進部アシスタントマネージ
ャーである前田敏正氏は「採用した技
術というと、ピストンと吸気カムの変
更くらいですから、読者の皆さんにと
って面白い話になるのでしょうか…」
と、切り出した。
やや肩透かしを食った格好の筆者
に、同じパワートレイン開発本部エン
ジン設計部のCE設計グループアシス
タントマネージャーの浅井晃氏が「ハ
ードウェアは小変更ですが、エンジン
性能をしっかり確保しなければ世の中
に出せないという点で、ハードウェア
を見ただけでは分かりにくい苦労があ
りました」とフォローしてくれた。
図●新型「デミオ」の透視図
ミラーサイクルエンジンに加え、
マツダとしては初採用のCVT、
100kg軽量化した車体の組み合わ
せで、10・15モード燃費23km/L
(13C-V)を達成した。