日経ものづくり メカトロ講座

第6回:機構・機能の概念設計(2)
文●茶運び人形実行委員会

多数のアイデアから方式を絞り込み
実現性/コスト/効果などが評価軸

 前回は機構・機能の概念設計の 一部として走行部を取り上げ た。今回は茶運び人形の機構部にお ける主要部となる腕部や手部の概念 設計について解説する(表)。
 実際に概念設計を進めるには,そ の手順を把握しておくことが不可欠 である。本題に入る前に,以下に装置 全体の機構設計を行う際の一般的な 手順について整理しておく。

(1)仕様の確認とランク付け
 顧客の仕様を調査して,重要度が 高い項目を抽出する。実現が困難,ま たはコスト高になる仕様項目につい ては代案を提案するなど,顧客の意 向を確認し,重要項目が設計から漏 れないようにする。特に,顧客におけ る装置の使用環境など,最初の仕様 にない「隠れた」仕様の掘り起しも大 切である(本誌2007年5月号参照)。

(2)各部方式の案出しと評価
 顧客の仕様で要求された機能を実 現するための各部方式のアイデアを できるだけ多く集め,それぞれを,実 現容易性,コスト,効果などの観点か ら評価する。ベテラン設計者は一人 でアイデア出し作業ができるが,経験 の乏しい設計者は機構集などの文献, カタログ類,先輩の図面やアイデア, ブレーンストーミング手法などを利 用するとよい。この段階では,方式を 二つくらいに絞り込む。

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表●開発設計の各過程で必要となる検討項目
今回は,設計論としての「システム設計」「機構・機能設計」 「開発・設計プロセス」,機構設計としての「構造設計」に 関する部分を取り上げる。