日経ものづくり 幾何公差

第5回:姿勢の公差

大林利一
いすゞ自動車 CAE・システム推進部
IDEPグループシニアスタッフ

公差域の意味を正しく理解して
形状の公差と併用

 今回解説する姿勢の公差には「直 角度」「平行度」「傾斜度」「線の 輪郭度」「面の輪郭度」の5種類の幾何 特性がある。いずれも基準となるデー タムに関連した形体の,幾何学的に正 確な姿勢に対するバラつきの許容限 度の領域を表す。ここではその中から 最もよく利用される直角度と平行度の 使い方について解説しよう。

直角度

 直角度は,指示した形体がデータム に対してどれくらい正確に直角である べきかを表す幾何特性。中心線や中 心面,線や平たんな表面などが,理想 的に直角な姿勢からどれだけずれて もよいかという許容限度を,記号「⊥」 によって指示する。

日経ものづくり 幾何公差 図●円柱の中心線に直角度を指示
理想的にデータムに対して直交すべき形体が,どれだけ傾いてもよいかの許容限度を指示している。この図 の場合,実際の(測得)中心線はデータム平面Aに直角なφ0.1mmの円筒公差域の中に収まり,かつ実際の 円柱の大きさは9.9~10.1mmの間になければならない。