日経ものづくり 詳報

シンクライアントで設計情報の漏洩防止
DMS展で出品相次ぐ

日経ものづくり 速報

 設計情報の漏洩に対して,企業が 危機感を募らせている。電子化 された設計情報は流出しやすい上,設 計環境のグローバル化やアウトソーシ ングの進展が情報流出の懸念に拍車 を掛けている。現に,2007年3月には, デンソーに勤務していた外国人エンジ ニアが,無断で設計情報を持ち出した として逮捕された。ファイル交換ソフト を介して設計データが流出してしまう 恐れもある。

 こうした状況から,CADデータのセ キュリティー強化への関心が高まって いるようだ。2007年6月27~29日に開 催された「第18回設計・製造ソリュー ション展」(以下DMS展)でも,情報漏 洩の防止に焦点を当てたCADやシス テムの新製品が目立った。

3次元CADをシンクライアントで

 セキュリティー対策の柱の一つが,3 次元CADのシンクライアント化だ。ク ライアントにデータが残らないので,故 意あるいは不意のデータ流出を防げる。 シンクライアントというコンセプト自体 は新しいものではなく,1990年代の終 わり頃に導入コスト・管理コストの削 減を狙って提唱された。当時はあまり 普及しなかったが,近年セキュリティー 対策に有効だとして再び注目されてい る。通常のパソコンに比べてパフォー マンスが劣ることが多いため,3次元 CADのような高い画像処理能力を要 求するアプリケーションには向かなかっ たが,処理能力の問題を解決できるよ うになり3次元CADでの応用が現実味 を帯びてきた。