日経ものづくり 速報

港区エレベータ事故,再現実験に疑問
本誌が検証する「実験計画書」の中身

日経ものづくり 速報

 2006年6月3日,エレベータのトビラが開いたままカゴが上昇し,乗っていた高校生がカゴの床と乗り場の天井に挟まれて死亡した。東京都港区の区民向け住宅「シティハイツ竹芝」で起きた,あの痛ましい事故から1年余り。同住宅では2007年7月9日から,港区の主導で事故原因の究明と再発防止を目的とする実験が始まった。

 警視庁の調べによれば,事故を起こしたエレベータではブレーキ系統のソレノイドがショートし,ブレーキパッドが摩耗していた。その結果,カゴのワイヤを巻き上げるドラムを締め付けるブレーキ力が弱まり,カゴが上昇して事故を引き起こした可能性が高いとみられている。とはいえ,現段階では事故原因を特定するまでには至っていない。

 こうした背景から今回の実験には,不安を抱えたままの生活を余儀なくされている住民たちの期待が集まるが,同月13日に公表された実験計画書の詳細を検証すると,首をかしげたくなる部分が散見される。