軽く安くする材料・加工技術・第6回 |
本当はプレスでも造れる マグネシウム部品 |
Mg(マグネシウム)が軽量化に効くことは分かっている。問題は部品の 造り方。ダイカストにしてもチクソモールディングにしても、自動車部品 のような大型部品には向かない。これがプレスでも造れるということに なれば、用途は大きく広がる。 |
不二越 |
Mg合金は、金属の中で密度が最も
小さい。また強度もそこそこにある。
その結果、比強度は、AZ31B(Mg-3%
Al-1%Zn)で143、AZ91(Mg-9%Al-1%
Zn)で154と、Al(A380)の117を大き
くしのぐ(表)。
リサイクル性、電磁波シールド性が
あり、しかも美しいため、ノートパソ
コンの筐体のほか、自動車部材への
採用が拡大してきた。自動車で最大の
用途はステアリングコラムの芯金で、
多くの自動車メーカーが採用してい
る。それ以外にもシートフレーム、イ
ンストルメントパネル、シリンダヘッ
ドカバーなどの用途例があるが、“高
級車限定”の域を出ない。
ブレスで使いたい
現在の加工法はダイカスト、射出成
形など、いずれにしても鋳造である。
どうしても欠陥を補修する、磨くとい
った後加工が要る。また、厚み0.6mm
以下の薄肉に造ることは難しい。圧延
した薄板をプレス成形するという、鋼
やアルミではごく普通の成形法で部品
が造れるのなら、もっと用途は広がる
はずだ。
ところが、Mgは結晶構造が六方晶
である。Al(アルミニウム)やFe(鉄)
のような立方晶金属と違って常温で塑
性加工することは難しい。温間圧延、
温間プレスする技術の開発が必要であ
った。これは、温度管理、潤滑油の選
択など難しい要素が多い。
表●各種薄板材料の物性値