日経オートモーティブ 連載

BRICsにおける自動車販売・生産の 実態を探る現地レポートの第2回は ブラジル編(上)。同国の2006年総販売 台数は182万台で、日系メーカーはトヨタ 自動車が5位、ホンダが6位のシェアを占 める。販売の8割はE100燃料に対応した FFV(Flex Fuel Vehicle)だ。

 「メタジィ・アルコール、メタジィ・ ガソリーナ(アルコールとガソリン、 半分ずつ入れて下さい)」。サンパウロ のガソリンスタンドでは最近、こんな ユーザーがいるという。
 ブラジルでは現在、CNG(圧縮天然 ガス)、ディーゼルを除いて3 種類の 燃料が売られている。E25(エタノー ル25 %含有のガソリン)、E25 に添加 剤を加えたハイオクタン仕様、そして E100(97%エタノール+3%水分)だ。
 エタノールは発熱量がガソリンの6 割ほどであるため、同体積では燃費は 落ちる。現地ではE100 がE25 の価格 の7割であれば“元が取れる”と判断す る。現在はE25 が1L 当たり150 円(1 レアル= 65 円換算)前後、E100 が同 80円前後のため、E100が割安だ。
 今回の取材では日本の自動車関係者 の中にFFV を「E100 ≒アルコール専 用車」と勘違いする人が多かった。同 国は1979年から国策で「プロアルコー ル」と呼ぶエタノール車普及政策を推 進してきたため、FFVを“新種のアル コール専用車”と思っているのだ。実 際は、FFV の燃料タンクの中はE25、 E46、E72と、E25~100の間をさ迷う。 だからこそ“フレックス”なのだ。 日経オートモーティブ 連載
ブラジルの燃 料別販売台数比率の 推移
2005年半ばにFFVの 販売台数がガソリン/ ディーゼル車の販売を 上回った。アルコール 車は2006 年からほぼ ゼロになっている。