日経オートモーティブ 解説

車載ECU(電子制御ユニット)を評価するシステム「HILS (Hardware in the Loop Simulation)」の多様化が進んでいる。 従来はパワートレーン制御用ECUへの適用が主だったが、最 近では車両全体をシミュレーションする大規模システムから、 ドア1枚だけを評価する小規模システムまで、さまざまな用途 向けのHILSが実用化されている。

 2007年秋、三菱自動車は、同社とし ては初めて「フルビークルHILS」を車 両開発に適用した車種「ギャラン フォ ルティス」「ランサーエボリューショ ンX」を発売する(1)(扉参照)。フルビ ークルHILSは、ネットワークでつな いだ車両1台分のECU数十台を一度に 評価できるHILSで、日本の完成車メ ーカーがフルビークルHILSの量産車 への適用を明らかにするのは初めてだ ( 図)。欧州では、すでにDaimler Chrysler 社が「Mercedes-Benz AClass 」や「同C-Class」への適用を明ら かにしているほか、フランスRenault 社も車両1台分を評価できるフルビー クルHILSの設備を備えているという。

日経オートモーティブ 解説
図●三菱自動車が導 入したフルビークル HILS
左側のドアは、ドア用 ECUの評価用に持ち込 んだもの。