日経ものづくり メカトロ講座

第4回:意匠設計/制御の概念設計(1)
文●茶運び人形実行委員会

組み込みコンピュータで
制御にリアルタイム性を持たせる

 各項目の概念設計に入る前に,製品のライフサイクルを通して発生が予測される諸問題をこの企画/設計の段階で検討する(表)。この検討内容の深さと幅広さが,製品開発力の強さに比例するといっても過言ではない。とりわけ,今回の茶運び人形のように新規の開発対象となれば,それはなおさらのことである。読者の中には,この上流段階での問題点を抽出する作業に戸惑いを感じる人もいるだろうが,この作業は一連の開発プロセスにおいて非常に重要な意味を持つものの一つであるので,肝に銘じておいてほしい。

 受注製品の場合は,さらにこうした検討に加えて,この段階で開発対象の大枠に対して顧客の合意を取り付けておく必要がある。特に,ロボットのように人間とのコミュニケーションを強く意識した製品においては,意匠(デザイン)の合意が機能仕様のそれよりも重視されるケースが少なくない。目標とする開発製品の意匠イメージを顧客に提示し,合意を取り付けておけば,その分だけ意匠に関する後々の問題発生を減らしていくことが可能になる。(以下,「日経ものづくり」2007年7月号に掲載

日経ものづくり メカトロ講座
表●開発設計の各過程で必要となる検討項目
今回は,要求仕様の確認に含まれる「顧客の合意取り付け」,および計測・制御アルゴリズム,ソフトウエアに関する概念設計のうち,マイクロプロセッサ(ロボット・コントローラ)とリアルタイムOSにかかわる部分を取り上げる。OSはオペレーティング・システムの略。