日経ものづくり 詳報

「ものづくり白書」好況の中で
ますます高度になる国内拠点の役割

 政府は 2007年6月,ものづくり白書(平成18年度 ものづくり基盤技術の振興施策)を閣議決定し,公表した。国内製造業の業績向上を受け,経済産業省担当部分の概況の記述には極めて良好な指標が並んでいる。

人件費の増加と利益拡大を両立

 その中で2007年の同白書は(1)国内生産拠点の再活性化が本格化しており,さらに海外拠点との役割分担が一層進展していること,(2)中小企業の国内指向が強く,技術開発においても国内拠点を主役と位置付けていること―などを明らかにしている。

 国内製造業の生産高を示す鉱工業生産指数(2000年=100)は2006年第4四半期に108.8を記録した。既に2005年に,バブル期のピーク(102.6)を超えていたが,記録をさらに更新した。

 生産の拡大を受けて,製造業の経常利益も過去最高を更新,2006年には前年比12.4%増の25兆3907億円になった。海外企業に比べて低いとしばしば指摘される国内製造業の利益率も,2006年には年平均で5.7%(経常利益率)になり,2005年より伸び率は低くなったとはいえ,着実に改善している(図)。(以下,「日経ものづくり」2007年7月号に掲載

日経ものづくり 詳報
図●国内製造業の売上高経常利益率の伸び
横軸下の数値は暦年平均。
(経済産業省「平成18年度 ものづくり基盤技術の振興施策」,財務省「法人企業統計調査」)