日経ものづくり 工場安全
3回:労働安全衛生法改正の要点とその意味

前田育男,関野芳雄,岡田和也
IDEC 規格安全ソリューションセンター

現場のリスクアセスメントは「義務」

 日本国内の工場安全を考える上で不可欠なのが,2006年4月に施行された改正労働安全衛生法(改正安衛法)である。今回は,改正安衛法の内容を通じて,事業者がどのような取り組みを求められているのかを探っていく。

指針やJIS規格に強制力なし

 近年,重大災害が増加傾向にあり,従来の法律や関連規則を守るだけではこうした重大災害を防ぐのに不十分であることを,前回まで述べてきた。

 今後,重大災害の発生件数を減らしていくには,「対症療法」ではなく「予防」を主眼とする取り組みが不可欠だ。こうした考え方に基づいて,既に2001年の時点で二つの指針が厚生労働省から通達されてきた。「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」と「機械の包括的な安全基準に関する指針」がそれである。

 特に後者は,国際安全規格群のうちA規格に該当するISO12100(機械類の安全性―基本概念,設計のための一般原則,当時はコミッティドラフト)とISO14121(機械類の安全性―リスクアセスメントの原則)に基づき作られたものである。

日経ものづくり 幾何公差
図●安衛法改正のポイント
厚労省発行のパンフレットを基に作成した。