日経ものづくり 見える化の極意
第3回:生産現場の物の見える化(2)

小坂 信之
中部産業連盟
東京本部 東京コンサルティングセンター
所長 主席コンサルタント

心理面にも配慮し目的理解を徹底
「整頓」「清掃」「清潔」の進め方

 前回は「生産現場の物の見える化(1)」として,経営の見える化/VM(Visual Management)の必須条件ともいえる5S(整理,整頓,清掃,清潔,しつけ)の重要性,5Sの全体展開,および「整理」「しつけ」の展開ノウハウについて説明した。今回は「整頓」「清掃」「清潔」に関する展開ノウハウを解説し,生産現場の重点課題である製造リードタイム短縮へ向けての5Sの要点を紹介する。

目的を理解した推進が重要

 整頓とは「要る物を所定の場所にきちんと置き示す」ことである。5S推進中と自認する企業であっても,整頓ができている企業はほとんどないと言っても過言ではない。

 すなわち「職場にあるすべての物には,最適な位置があり,それぞれに適した置き方がある。それを標準化するために物の表示,位置の表示,正常/異常が分かる表示が必要である」といった認識に基づく活動まで至ってない。多くの人は,整列,陳列することが整頓と誤解している。