本講座では民間検定の「知的財産検定2級」水準の問題を解きながら,技術者向けに知財の常識を解説する。今回は,「意匠・商標」について取り上げる。製品のデザインやネーミングが売れ行きを左右する重要な要素になってきた電子機器においては,技術者にも意匠・商標の知識が求められる。(木村 雅秀=本誌)

斉藤 達也
片寄・斉藤特許事務所(虎ノ門オフィス)代表
弁理士

 前回まで解説してきた特許に比べ,意匠や商標に技術者が直接関与する機会は少ない。意匠は工業製品のデザイン,商標は商品やサービスのネーミングであり,これらは通常,技術者ではなく企画やマーケティングの担当者が知的財産の担当者と共同で考案することが多い。しかし意匠権や商標権も特許権と同じ「独占権」であり,特許とは異なる観点から製品を保護できる。特に近年では,技術者の積極的な関与が求められる場面が増加している。