欧州で事業を手掛ける日本の電機メーカーにとって,思わぬ足かせが現れてきた。これまで関税がかからなかった製品が有税とされたり,当局にカルテルを結んでいたと認定され日本の常識では及びもつかない巨額の制裁金の支払いを命じられたりする事例が相次いでいる。関税の賦課を未然に回避するには,技術的知見を基礎にしたロビー活動が欠かせない。一方,カルテルの摘発については,当局から疑いの目を向けられないため,技術者一人一人の振る舞いが問われる。

 欧州連合(EU)で,日本の電機メーカーを悩ます事態が二つ同時に起きている。いずれもEUの行政当局による措置で,巨額の支払いを求められることが多い。

 一つは,これまで無税だとされてきた製品に対して関税が賦課されそうなこと。早ければ2007年7月にも,ビデオ・カメラ並みの動画を撮影できるデジタル・カメラに対して4.9%の関税分類の適用が決定される。もう一つは,競争緩和を狙って企業が違法に結ぶカルテルに対する制裁が,厳しさを増していること。制裁金の額が跳ね上がり,1社当たり100億円を超えることが珍しくなくなった。