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調査テーマ:設計情報の流出防止

 設計情報を不正に持ち出そうとする社員など内部関係者がいた場合,これを防げるのか ―。この問いに対して73.3%の技術者が ノーと答えた(Q1)。「防げる」と回答したのはわずか1.4%にしかすぎなかった。

デンソー事件は例外か

 2007年3月,デンソーに勤める中国人技術者が,同社の設計データを保存したパソコンを無断で持ち出した横領容疑で逮捕された。持ち出された設計情報は13万件にも及ぶ。愛知県警察は,機密情報が海外に流出した可能性があるとして捜査を進めたが,結局,事実関係の解明には至らなかった。名古屋地方検察庁は同年4月6日,処分保留で容疑者を釈放した。最終的には起訴猶予になる見通しだ。

 こうした設計情報の流出は,デンソーで起きた特異なケースなのか,あるいは氷山の一角なのか ―。いずれにしても「防ぐことは難しい」という回答が7割を超える状況が示す通り,意図的に不正を行おうとする内部関係者から,設計情報は守ることは非常に難しいのが実態である。

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