「自動車市場で世界一を目指す」(NEC 取締役執行役員専務の鹿島浩之助氏)─。日産自動車とNEC,NECトーキンは,ハイブリッド車や電気自動車などの電動車両に向けたLiイオン2次電池の生産を手掛ける合弁会社「オートモーティブ・エナジー・サプライ(AESC)」を設立した。2009年度までに量産を開始し,日産自動車をはじめ,全世界の自動車関連メーカーに製品を供給する計画だ。

 新会社が量産するLiイオン2次電池の特徴は,正極材にLiMn2O4(マンガン酸リチウム)を採用すること。携帯電話機向けなどのLiイオン2次電池で採用されている正極材であるLiCoO2(コバルト酸リチウム)に比べて,安全性が高く,材料コストが低いことを利点としている。

 自動車へ搭載するための安全性や耐久性などの課題は「既に解決済み」(日産自動車 常務執行役員の篠原稔氏)とし,重さ当たりのエネルギー密度で90Wh/kg程度,同出力密度で3000W/kg弱の製品を量産化することが可能としている。これにより,トヨタ自動車の「プリウス」など現行のハイブリッド車が搭載するNi水素2次電池に比べて,電池ユニットの容積をほぼ半減できるという。