「医療・ヘルスケア分野における無線は,この先15年は成長するだろう。長年無線にかかわってきたが,本当に面白い時代に入ってきた」(ある国内の無線通信分野の大学教授)。「我々は,もっと無線を使いたいと思っている。活発な技術開発を期待している」(栃木県立がんセンター 画像診断部の担当者)。

 医療やヘルスケアの分野で,無線通信技術を積極的に活用しようという動きが顕著になっている。医療では,例えば体内に埋め込んだ機器(インプラント機器)との情報のやりとりに無線を使うための取り組みが本格化してきた。ヘルスケアでは,身に着けた小型センサで収得する身体情報を,無線によって手軽にデータ収集する用途に注目が集まっている。収集したデータは,ブロードバンド回線や携帯電話網を使って遠隔地にあるセンターに伝送し集約するなど,各種のサービスに利用することも可能となる。メタボリック・シンドローム対策などで,個人の健康管理サービスが離陸しつつあることも,無線通信技術の開発を後押しする。