日経オートモーティブ 技術レポート

ドイツVolkswagen社の「ゴルフGT TSI」
スーパーチャージャとターボで過給
既存部品を活用しコストも抑える

 2007年1月、フォルクスワーゲングループジャパンは、スーパーチャージャとターボチャージャを併用する新型エンジン「TSI」を搭載する「ゴルフGT TSI」を発表した(図)。排気量1.4Lながら、最高出力は125kW(170PS)と2.4Lの自然吸気エンジンに匹敵する。

 ゴルフGT TSIは「GTI」「R32」に続くスポーティーモデル。しかし、このクラスとしては異例とも言える1.4Lの小排量・直噴エンジンに二つの過給機を組み合わせたのが特徴である。最大トルク240N・mを発揮しながら、排気量が小さいためエンジンの摩擦抵抗が少なく、10・15モード燃費は14.0 L/kmと、ゴルフのラインアップの中で最も良い値を実現した。
 小排気量のエンジンを加給する際、最大の問題となるのは「ターボラグ」だ。この傾向は、排気量の小さなエンジンほど顕著に現われる。しかしTSIでは、ルーツ式スーパーチャージャに低回転域を担当させ、高回転域はターボチャージャに切り替えることで、小排気量でもターボラグをほとんど感じさせない。

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図●「ゴルフGT TSI」のエンジンルーム