日経ものづくり 速報

東海大など,PEFC向けに被覆材
カーボン・ナノチューブをPTFEに分散

 東海大学工学部電気電子工学科助教授の庄善之氏のグループは大橋春日通商(本社大阪市)と共同で,高分子固体電解質型燃料電池(PEFC)で使われる金属セパレータ向けに新しい被覆材を開発した。セパレータに求められる高い導電性と耐腐食性の両立を目指すもの。ステンレスでできたセパレータの表面から不導体皮膜を除去し,そこに同被覆材を付与することで,そうした性能を確保しようと狙っている。
 通常,PEFCでは複数の発電セルを直列に接続して必要な出力電圧を確保する。そのため,隣り合うセルの間で酸素極と水素極を接続することになる。酸素極側の酸素と水素極側の水素が,隣り合うセルの異なる極に漏れ出ることがないように使用するのがセパレータである。一般に,セパレータには(1)酸素や水素を透過しない(2)PEFCを構成する上での十分な強度を保てる(3)電気的な抵抗値が小さい(4)酸性の環境下で腐食しにくい―といった要件が求められる。

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図●PTFE中にCNTを均一に分散
乳剤を入れることでCNT(カーボン・ナノチューブ)を水の中に均一に分散。それをPTFE(ポリ・テトラ・フルオロ・エチレン)を水に分散させたものと混ぜることで,PTFEとCNTを均一に分散できるようにした(右)。左は比較品。