日経ものづくり 特報

イラスト:Lisa Manning/Photodisc Green/Getty Images

仕様が変わる受注生産品を扱う日本信号。同社は,それらの製品構成をモジュール化して設計を簡素化するとともに,仕事の中身もモジュール化する「ワークユニット」と呼ぶ考え方を導入した。これまで体系立てて蓄積していなかった図面やノウハウなどのナレッジ情報を収集・管理する仕組みを構築し,その有効活用を目指す。

 「現場の設計者もこれまでいかに無駄な作業が多かったかに気付き始めた」―――こう語るのは,日本信号取締役常務執行役員の星野武彦氏。鉄道用信号システムなどを手掛ける同社は,受注ごとに設計していたそれまでのやり方を見直し,モジュールの組み合わせで設計効率を高めようとしている。定型的な設計作業を効率化し,より付加価値の高い業務へとリソースをシフトさせるためだ。
 製品構成をモジュールで管理する新システムを中核に,設計情報の管理システムや,受注から納品までのコストやスケジュールの予実を管理する案件ライフサイクル管理システムを構築。日常業務の効率化を図る「NKRM(Nippon Signal Knowledge Resource Management)」と呼ぶプロジェクトに取り組んでいるところだ。

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図●日本信号の製品
列車の速度を制御する自動列車制御装置(ATC)などは受注生産品が多い。