サーバー機のマイクロプロセサの最大消費電流が100Aを超え,通信機器で使うFPGAやASICでは数十Aに達するようになった。今後も消費電流が増加するという見方は強い。その一方で,電力を供給するDC-DCコンバータに割けるプリント基板の実装寸法はもはや限界に近く,DC-DCコンバータは大電流の出力が可能でありながら小型でなければならない状況だ。今回は,この相反する要求を満たす切り札となるDC-DCコンバータ用MCMを取り上げる。大電流を要するLSIを駆動する,主に入力電圧10V以上のDC-DCコンバータに用いる品種に焦点を当て,各社の製品を比較した。(大久保 聡)

 ソニー・コンピュータエンタテインメントが2006年秋に発売したゲーム機「プレイステーション 3」(PS3)は,数々の目新しい電子部品を搭載する。中でもマイクロプロセサ「Cell」やグラフィックスLSI「RSX」が目立ちがちだが,実は電源にも注目すべき部品が使われている。米International Rectifier Corp.(IR社)のDC-DCコンバータ用MCM(multi-chip module)「iP2003APbF」だ。これによって,CellやRSXに100A超の大電流を供給するDC-DCコンバータは,名刺サイズより小さく仕上がった。