使っていると楽しく感じる―そんなユーザー・インタフェースを,幅広い機器で構築する環境が整ってきた。3次元グラフィックスやアニメーション,透明なウインドウなどを活用した豊かな表現を容易に実現できるようになる。まずはパソコンで始まり,デジタル家電製品やインターネット上のサービスへ徐々に広がっていきそうだ。

 パソコンでの動きを代表するのが,2007年1月30日に個人向け販売が始まった米Microsoft Corp.の「Windows Vista」。その最大のセールス・ポイントは,「Aero」と呼ばれる新しいGUIにある。3次元グラフィックスを用いて複数のウインドウを整理したり,ウインドウを半透明化して下にあるウインドウの内容を確認できるようにしたりといった,新しい表現を活用している。Windows Vistaに組み込まれたAPI(application programming interface)「Windows Presentation Foundation(WPF)」を利用すれば,アプリケーション・ソフトウエアでも同様なGUIを実現可能である。

 この種の豊かな表現を用い始めたのは,米Apple Inc.のMacintoshである。2001年に世に出た「Mac OS X」で「Aqua」と呼ぶ見栄えの良いGUIを採用。2005年に登場したMac OS X 10.4(開発コード名:Tiger)では「Core Image」などのAPIを用意し,こうしたGUIをアプリケーション・ソフトウエアで利用しやすくした。近々登場するMac OS X 10.5(開発コード名:Leopard)では,アニメーション機能をつかさどる「Core Animation」が追加される。