日経ものづくり 詳報

外径1.5mmの超小型遊星歯車減速機
テクファ・ジャパンなどが開発

最大1/1024まで減速,医療用小型機器などでの適用見込む

 テクファ・ジャパン(本社埼玉県日高市)と岡部二光製作所(本社さいたま市)は,外径1.5mmの超小型遊星歯車減速機を開発した(図)。モータなどの駆動軸につないだ太陽歯車への入力を,三つの遊星歯車と内歯車で1段当たり1/4に減速する。最大5段まで重ねることで1/1024まで減速できる。
 テクファ・ジャパンが歯車を設計し,岡部二光製作所が加工と組み立てを担当した。「公表されている減速機としては世界最小だろう」(テクファ・ジャパン代表取締役社長の香取英男氏)。外径1.5~2.0mmの直流モータは存在するが,それに見合う小径の減速機がなかったことから開発した。まずは内視鏡や腹腔手術用機器,小型ポンプなどの医療機器分野での用途を見込む。既に,医療機器メーカーから問い合わせがあるという。
 太陽歯車と遊星歯車の歯数は9,内歯車のそれは27で,モジュール*は0.04。太陽歯車と遊星歯車のピッチ円直径は0.36mmとなる。軸方向の長さは減速比1/256の場合で4mm程度。外径はさらに1.2~1.3mm程度まで小さくすることも可能だという。
 難しいのは直径0.4mm程度の微小な歯車をいかに製造するか。「小さな穴や軸の,真円度や真直度などの寸法管理に苦労した」(香取氏)。詳細は明らかにしないが,岡部二光製作所では市販のワイヤ放電加工機を利用した上で,加工方法に独自の工夫を凝らして「放電加工機メーカーには不可能と言われた」(岡部二光製作所)微細な加工を実現。ワイヤ径よりも小さな曲率の歯底部も加工できるようにした。加工する際の素材の保持や切り離しにもノウハウがあるという。

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図●外径1.5mmの超小型遊星歯車減速機
写真は遊星歯車機構を4段備えた減速比1/256のサンプル。0.5mN・m程度のトルクに耐えられるという。