日経ものづくり 中国的低価格部品選定指南

第14回
シリコーン部品でモータが停止
材料は利用ノウハウが不可欠

多機能で使いやすさが魅力のシリコーン製品。これを中国メーカーからの調達に切り替えることで,コストが半減する可能性がある。だが,使いこなすためには相当なノウハウを要する。特に,材料に起因する問題には要注意だ。(本誌)

遠藤 健治 海外進出コンサルタント


 製造業の不良にはさまざまな種類がありますが,大まかに分けると「作業不良」「材料不良」「設備不良」「設計不良」といったところでしょう。これらの不良には解決の難易度に差があります。私の経験から言わせてもらえば,このうち最も難しいのが材料不良です。
 作業不良と設備不良の二つは,多くの場合で問題が目に見えるため,比較的簡単に解決できます。また,設計不良については,問題に関する適切な情報を設計者に送ってあげることでほぼ解決します。いずれにせよ,自分たちが努力することで解決への道が開けるのです。
 ところが,材料不良については,その部品や材料を生産するメーカーを頼らなければ問題を解決できないことが多く,自社でできることは限られています。これが,材料不良の解決が最も難しいと私が指摘する理由です。
 特に,中国で調達した部品や材料でこの材料不良が生じた場合は,かなり厄介な問題となる可能性があります。
 顧客である日本メーカーが問題の解決を依頼しても,取引先の中国メーカーに技術力やノウハウが不足していて対応できなかった。しかし,日本メーカーの方はそれを知らずに中国メーカーの解決を待ち続け,時間だけを浪費して一層深刻な状況に陥ってしまう・・・。
 別に脅かすつもりはないのですが,中国における部品や材料の調達でこうした失敗を経験する日本メーカーの例は枚挙にいとまがありません。この材料不良の問題はあらゆる部品や材料の調達に伴うものですが,日本メーカーの失敗が特に目立つものの一つに,シリコーン製品があります。

日経ものづくり 中国的低価格部品選定指南