日経ものづくり 万華鏡

成型・加工技術の奥深さ
日本の底力が集結

プルタブを引き起こした瞬間,円筒の側面に浮かび上がる切子細工のように立体的な文様―。炭酸飲料などに適用される「ダイヤカット缶」は,内圧の開放を引き金に側面の形状を変化させることで強度の確保と軽量化を両立した。折り紙のように平面から立体,立体から平面へと姿を変える「等長変換」が適用されているが,折り紙のような折り目をどうやってつけるのか・・・。その答えが左上の写真。缶の内と外から金型で挟み付けて成型していくのだ。製品の外観だけからでは推し量れない成型・加工技術。その奥深さを少しでも知ってもらいたいと,「ものづくり展」(国立科学博物館,2007年2月18日まで)の展示が語り掛けてくる。

日経ものづくり 万華鏡
ダイヤカットの金型。円筒形に成型した缶の内側に凹型(左)を差し込み,凸型(右)とで挟み込みながら加工する。

日経ものづくり 万華鏡
複合材(銅合金と鉄系材料)の境界部における切粉。銅と鉄の原子が拡散した状態で溶着接合しているため,油圧機器など高速・高圧という条件下でも剥離しない。