日経ものづくり キラリ輝く中小企業

コスモ計器

エアリークテスタのコスモ計器
徹底コンサルで業界トップ

 コスモ計器は,空気圧を利用して製品や部品の漏れを検査する,エアリークテスタのトップメーカー。自動車エンジンの検査ラインをはじめ,自動車部品,ガス器具,電子部品,衛生陶器メーカーなど,幅広い分野に顧客を持つ。設立は1970年,現社長・古瀬智之氏の実父で東京航空計器の技術者だった古瀬清氏が,トヨタ自動車から差圧検出方式によるエンジンリーク自動検査器の開発依頼を受けたのがきっかけだった。
 差圧検出方式とは,マスタ(漏れのない基準品)内とワーク(被検査物)内を同じように加圧または減圧し,ワーク側の漏れによって生じるマスタとの圧力差を検出するテスト方式。現在でも同社製品の多くは,この方式を採用している。

製品とノウハウをセットで提供
 エアリークテスタは,耐圧差圧センサ,空気作動弁回路,モニタなどの基本構成のほか,条件に応じて機能を付加することで,さまざまなテストが可能だ。
 エアリークテストの基本は,開口部をシールすること。例えば,コップのような形状の検査物の底の亀裂を調べるときには,空気の漏れが生じないよう,治具やパッキンを使って上の開口部を密閉。その後,注入部を設けて空気を送り込む。では,電子部品のような密封された小さなパッケージを検査するときはどうするか。マスタとワークをそれぞれカプセルに入れ,カプセル内を加圧(あるいは減圧)し,マスタとワークの容積の差を調べる。
 「製品とノウハウをセットにして提供するのが,創業来のモットー」と古瀬智之氏は語る。エアリークテスタの原理そのものは比較的簡単だが,ユーザーが生産ラインなどの現場で微差圧変化を正確にとらえるためには,それなりのノウハウが必要。このため,コスモ計器は全社員の6割を営業・サービスなどのフィールド要員とし,テスタの最適な設置方法や操作方法,データの取り方などのアドバイスをはじめ,徹底したビフォア・アフターサービスの提供に努めている。
 「直接,テスタとは関係のないところで不具合が起こったときでも,当社では客先にサービスマンを送り込む。原因が何であれ,テスタを使えない状況を見過ごすわけにはいかない」と古瀬氏。こうした経営姿勢が評価され,目下,国内では6割強という圧倒的な市場シェアを持つ。

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●本社工場の製品組立ライン

森藤技研工業

金属表面加工の森藤技研
見せる加工に特化

 森藤技研工業は,エッチング,カラーステンレス発色,研磨加工などによる非鉄金属表面への意匠加工を主業務とする。創業は1935年だが,源は江戸時代から続く鍛冶屋の名家。代々,家の跡取りが森藤左エ門を襲名しており,現社長は5代目。戦後初期までは二輪車用ネームプレートなど銘板製作を行っていたが,1960年代初めに写真法による長尺エッチング技術を習得したことが,今日の業態を生むきっかけになった。

大板では独占状態
 エレベータのドアや内装パネルにステンレスが使われ始めた時期,「ステンレス生地そのままでは味気ない。何か装飾を施したい」という相談がメーカーから持ち込まれ,それに応えることでエッチングからスタートした。森藤技研は現在でも,大板の表面加工が得意である。また,エレベータ関連が売り上げの8割を占めているのも,1960年代に始まる伝統が生きているためだ。
 「小さな金属板を対象にした意匠加工なら,全国に何百社とあるだろうが,大板は半ば当社の独占状態」と森藤技研工業社長の森藤左エ門氏は語る。
 1970年代後半には表面処理にバリエーションを持たせるため,英Inco Europe社と提携し,Inco社の持つステンレス着色法と硬膜処理の技術導入を図る。この技術は,薬品の酸化力によってステンレス表面に薄い酸化皮膜を作り,皮膜表面で反射する光と,ステンレスと皮膜の界面で反射する光との干渉で発色させるもので,カラーステンレスと呼ばれる。発色原理はシャボン玉の虹色発色と同じで,皮膜の厚みによって色を変える。

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●カラーステンレスの発色ライン