日経ものづくり 業務改革/改善のためのABC

業務改革/改善のためのABC

第2回
単価/時間/回数の3要素に着目
分析の切り口は仮説に沿って設定

佐藤 俊行
IBMビジネスコンサルティングサービス
戦略コンサルティングサービス

現状業務において,どのような活動にどのくらいのコストが掛かっているのか―。金額換算で現状業務を調査/把握し,それらが適正なものかどうかを分析していくことで,業務改革/改善の対象を絞り込めるようにするABC(Activity Based Costing)。今回は,そうしたABCにおける現状業務の調査/分析手法について解説してもらう。(本誌)

 前回は,企業の業務改革/改善における現状把握の必要性と,実施の際の四つのポイントである(1)あいまいさを排除できるレベルまでの業務の詳細化(2)戦略のブレークダウンと業務のひも付け(3)業務実施状況の定量化(4)業務プロセスにこだわらない網羅的な把握―を紹介した。このようなポイントを満足できる手法として有効なのがABC(Activity Based Costing,活動基準原価計算)である。ABCの考え方を用いた業務の調査/分析を行うことで,現状業務をより効率的かつ効果的に把握できるようになる。
 このほかにも,ABCとは,製品やサービスとの関係が分かりにくい間接費を手間(作業時間)のかかり具合に応じて配賦することで,製品やサービスのコストをより正確に把握しようと考えられた原価計算の方法であること,ABCには豊富な活用シーンがあることなどについて触れた。
 今回からは,いろいろある活用シーンの中で,業務改革/改善のためのABCを具体的に紹介していく。

日経ものづくり
図●ABCの考え方を用いた業務の調査/分析に関する計算ロジック