日経ものづくり 特報

部品表を起点にした
村田機械の生産改革

順番に並べた部品を組み立てる


自動倉庫システムを製作する村田機械は,部品表を起点とした独自のシステムを構築し生産改革に成功している。流用設計の頻度を上げて設計を効率化,生産現場においては部品を並べた順に組み立てる方式でリードタイムの短縮化などを実現した。個別受注型製品では難しいと言われる業務の標準化に挑戦した同社の改革を分析する。

 各作業者の作業スペースがきれいに区分けされた生産現場(図)。基本的には一人の作業者がセル生産でユニットを組み立てていく。村田機械L&A事業部の「組み立てワークステーション」の風景だ。
 一見すると普通のセル生産。特徴は大きく二つある。一つは組み立て図面や作業指示書など紙の書類がないこと。セル内に設けられた二つのディスプレイから,作業者は情報を得る。片方のディスプレイには組み立てているユニットの2次元図面,もう一方にはユニットの部品表を表示している。
 もう一つの特徴は,部品の準備方法にある。各ユニットに必要な部品は「配膳台車」で運ばれる。個々の部品には固有の現品票が張ってある。現品票には部品名や部品コードなどが記入してあるとともに,大きく目立つように「1」「2」といった数字が記入してある。そして,配膳台車の上ではその数字の順番に部品が並ぶ。
 作業者が参照する2次元図面には,個々の部品に「風船番号」が付けてあり,大きく目立っている。この図面中の風船番号と現品票に大きく記入された数字が対応する。作業者は,基本的には「1」番の部品から順番に,図面や部品表を参照しながら組み立てていく。
 「プラモデルは,組み立て説明図の1コマずつで幾つかの部品を組み立てるように指示されながら,製品を完成させていく。組み立てる部品は,大きな風船番号で表示されており,非常に分かりやすい。同工法は,一つのコマで一つのユニットを組み立てていくと見立てると,プラモデルに似ている」(同社L&A製造部部長の田井彰人氏)。このため,同方式のことを「プラモデルキット方式」と呼んでいる。

日経ものづくり 特報
図●組み立てワークステーション
作業者は二つのディスプレイから図面と部品表の情報をもらいながら製品を組み立てる。部品には大きく番号が記入された現品票が添付されており,配膳台車上にはその番号順に部品が並んでいる。