日経ものづくり 中国的低価格部品選定指南

第13回
ワイヤハーネスは加工に注意
作業員と材料管理が品質を左右

中国市場で相当安く調達できるワイヤハーネス。加工も中国工場に委託することでトータルの調達コストを抑えられる。だが,品質の良いワイヤハーネスを入手したいなら,加工を手掛ける作業員や材料の管理に要注意だ。(本誌)

遠藤 健治 海外進出コンサルタント


 目立たないものの,製品を構成する部品の中で意外にコストが掛かるワイヤハーネス。回路基板とさまざまな部品をつなぐ重要な役割を果たします。種類はとても豊富で,太さや材質,シールドの有無,耐熱温度などの仕様から,製品が使用される環境に応じて適切なものを選択できます。ワイヤハーネスは,今や中国で最も簡単に入手できる部品の一つです。
 中国でワイヤハーネスを調達する場合,何といってもうれしいのは価格の安さ。1m当たりの単価は数円のものから市場に出回っています。
 ただし,実際に使用する際にはさらに加工コストを要する点に気を付けなければなりません。一般に,ワイヤハーネスの加工には,適当な長さに切る切断,回路基板へのはんだ付け,端子などをかしめて接続する圧接の三つがあります。また,コネクタを使う場合は,コネクタとの接続や組み立て作業を行わなければなりません。
 問題は,ものすごく大量に造る場合は別として,多くはこうしたワイヤハーネスの加工を作業員が手作業で行っていることにあります。手作業への依存度が高いため,加工費の高い日本ではコストがぐんと上昇してしまいます。そこで注目されるのが,加工費も安い中国の工場です。
 つまり,中国でワイヤハーネスを調達し,加工も中国工場に委託することで,日本に比べて加工を含めたワイヤハーネスのコストを半分以下にできるのです。場合によっては1/3にすることも可能です。ところが,この加工委託が,ワイヤハーネスを使う上で最も重要なポイントの一つであることを知る日本メーカーはそれほど多くないようです。

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