日経オートモーティブ 連載

最新センサ詳解 第1回

タイヤ空気圧監視で
安全性を向上

タイヤ空気圧監視システム(TPMS)は、タイヤの空気圧を監視することで必要に応じてドライバーに警告する装置だ。2000年頃に実用化されて以来、米国を中心に普及しており、2008年には米国だけで1600万台の車両に装着される見込みだ。今回の講座では、業界でのTPMSの取り組みと仕組みについて説明する。

Product Manager BL ID MS Car Access and Immobilization、
BU Automotive & Identification NXP Semiconductors
Hans-Joachim Moeller

Engineer BL ID MS Car Access and Immobilization、
BU Automotive & Identification NXP Semiconductors
Huanyu Gu


 TPMSは、タイヤの空気圧が指定値を下回った時に、ドライバーに警告する装置だ。ユーザーは、常に適切な空気圧を維持した走行が可能になり、運転時の安全性が向上するほか、走行性能が高まることから燃費の向上にもつながる(図)。空気圧が低下した状態で走行するとタイヤがパンクしやすくなるほか、 車両の安定性も損なわれるので横転する危険性も高まる。
 米国ではパンク事故で100人を超える犠牲者を出した、1990年代後期の米Bridgestone/Firestone社の不具合に対応して、当時のクリントン政権はTREAD(Transportation Recall Enhancement、Accountability、and Documentation: 自動車等のリコールに関わる法律)法を制定した。
 この法律は、タイヤの空気圧の異常な状態をドライバーに警告するために、タイヤの空気圧を直接的もしくは間接的な方法で監視することを義務付けるものだ。
 TRED法は、2007年9月1日以降に米国で登録されるすべての小型自動車に適用される。2005年10月から登録車両の自動車の20%については段階的導入が始まっており、NHTSA(米高速道路交通安全局)の予測では2006年9月1日以降には70%に達する。

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図●パンクしたクルマの例
TPMSは空気圧の低下やパンク発生時に、ドライバーにいち早く知らせることで安全性や燃費を向上する。