日経オートモーティブ この会社・この技術

多摩川精機
ハイブリッド車、
電動パワステを支える
角度検出用レゾルバ

航空・宇宙、軍事用といった高精度センサを数多く手掛けた経験を生かし、トヨタ自動車の「プリウス」に代表されるハイブリッド車向けに回転角センサ「レゾルバ」を供給する多摩川精機。少量生産しか経験がなかったため、大量生産のノウハウ蓄積には苦労した。

 いまや自動車技術は、電子制御なしでは語れない。一般的な内燃機関の自動車でも、パワーステアリング、車両姿勢安定装置、電子制御スロットルなど幅広い分野に電子制御技術が応用されている。ハイブリッド車や燃料電池車といった次世代車では、通常の自動車以上に電子制御の比率が高まるのは言うまでもない。
 この電子制御に欠かせないのがセンサだ。必要な情報をきめ細かく検知して、制御にすばやくフィードバックできるかどうかが電子制御の良し悪しを決める。一口にセンサといっても種類は豊富で、排ガス中の酸素濃度を検知するO2センサのようなものもあれば、姿勢制御の際に必要な情報として車両の水平方向の回転速度を検知するヨーレートセンサなど、目的ごとに適したものが選ばれている。

ハイブリッド車に採用
 回転角センサもまた、需要が急速に拡大しているセンサの一つだ。例えば、電動パワーステアリングでは、ステアリングの操舵角を高い精度で検知することが必要になる。最近では、スポーティー志向のモデルにギアレシオを可変としたアクティブステアリングの採用が進み、精度に対する要求は高まる一方だ。将来的に、ステア・バイ・ワイヤの可能性などを考えると、需要はさらに拡大すると考えられる。
 近ごろでは、ハイブリッド車の駆動用に搭載されている「永久磁石式同期モータ」に回転角センサが用いられている。通常の直流モータでは、ロータに電極となるブラシを接触させてロータとステータの磁界を同期させているが、自動車の駆動用モータのように高回転かつ高出力の条件では、ブラシの耐久性が問題になる。そこで、ブラシを使わず、効率も高い永久磁石式同期モータが採用され、回転角を検出する回転角センサが必要になった。

日経オートモーティブ この会社・この技術
図●ハイブリッド変速機のモータに使われるレゾルバ
(a)トヨタ自動車の初代「プリウス」部分改良車のハイブリッド変速機。モータと発電機に一つずつ使っている。(b)部分改良車では従来タイプの1/2に薄型化したタイプを採用。