日経オートモーティブ 新車レポート

ダイハツ工業「ムーヴ」スズキ「セルボ」
極限の室内スペースか
上級志向のデザインか

ダイハツ工業が「屋台骨を支えるクルマ」と位置づける軽乗用車「ムーヴ」(図1)が全面改良した。 「軽自動車1位」をうかがう同社の原動力となるクルマだ。 対する軽自動車1位のスズキは、8年ぶりに「セルボ」の名前を復活させ、上級志向のユーザー取り込みを狙う(図2)。 国内自動車市場で唯一活気がある軽乗用車市場で、競争が厳しさを増している。

 全面改良の周期をかつての4年から5~6年へと伸ばす車種が多くなる中で、きっちり4年で全面改良を受けたのが2006年10月に発売されたダイハツ工業の新型ムーヴだ。その理由を、開発責任者である商品開発本部第2開発ブロックチーフエンジニアの堀信介氏は次のように語る。
 「ダイハツはムーヴで成り立っている会社。ムーヴがくしゃみをしたら会社が風邪をひく。軽乗用車の先頭を走り続けろと上からは言われている」
 開発に当たって目指したのは、「新しくなった」という印象をユーザーに与えること、そしてあらゆる面で競合車を上回ることだ。
 「従来車と同じようなものを作っても買い換えてもらえない。とにかく突き抜けたクルマを作ろうと開発チームには訴えた」(堀氏)

角型から丸型へ
 こうした姿勢がまず表れているのがデザインだ。外観では、従来の角ばったデザインから、丸みを帯びたモノフォルムとへと大幅にイメージチェンジしたのが目を引く。
 「とにかく変わったということを分かりやすく示したかった。四角いデザインのほうがクルマを大きく見せるには有利だが、大きく見えたほうがいいというユーザーには『タント』を勧めればよいと割り切った。結果として、ホンダの『ゼスト』や富士重工業の『ステラ』などの角ばったデザインの中で、埋没しなくて済んだ」(堀氏)

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図1●ダイハツ工業の新型「ムーヴ」
従来の角型から、丸みを帯びたデザインに変更し、軽乗用車最大の室内スペースを確保した。

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図2●スズキの「セルボ」
絶対的なスペースよりも「上質感」にこだわったという。