日経オートモーティブ 新車レポート

日産自動車「スカイライン」
ナンバー1評価維持狙い
新プラットフォームを採用

2006年の上半期に軽自動車以外に新車投入がなく国内販売も苦戦中の日産自動車。 その日産が久々に2006年11月に発売したのが新型「スカイライン」だ。 米国では「Infiniti G35 Sedan」としてドイツBMW社の「3シリーズ」などと競合する。 これらに打ち勝つために、プラットフォーム、エンジンの両方を刷新した。

 12代目となるスカイラインのV36型が2006年11月に登場した。同車は先代のV35型から北米などにInfinitiブランドの「G35 Sedan」として導入されており、世界戦略車としての位置付けを強く意識して開発されている(図)。
 V35型は当初輸出を予定していなかったものの、Infinitiブランドとして導入し、大ヒットを飛ばすことになる。結果として「BMWの3シリーズやMerceds-BenzのCクラスなど世界の名車と戦うことになった」(日産自動車セグメント・チーフ・プロダクト・スペシャリストの大澤辰夫氏)。国内専用車より求められる性能、品質のレベルが格段に上がったのである。
 折しも、2005年から3シリーズやトヨタ自動車の「レクサスIS」が全面改良を迎え、それまで米国市場で築いてきたアドバンテージが小さくなっていた。そこで、新型では「これまで米国の雑誌で築き上げたこのクラスでナンバー1という評価を維持すること」(大澤氏)を目標に開発を進めた。
 ここで有利に働いたのが生産台数の多さ。世界戦略車となったことで、計画販売台数は国内専用車の時代から格段に増えている。新型はモデルライフで約35万台を計画。内訳は国内が6万台、北米が25万台、その他が4万台である。国内の需要だけでは6万台だが、全体ではその6倍にも達し、開発投資も国内専用車では考えられない額をかけられたという。

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図●日産自動車の新型「スカイライン」
(a)フロントは「フーガ」を思わせるデザイン。全幅は国内での取り回しを考えて1770mmに抑えた。(b)内装のアクセントはアルミニウム合金と木目を選べる。アルミ合金は和紙をイメージした模様が特徴。