第24巻 |
広島大学大学院教授 沢 俊行
●「ヘルツの接触理論」の三つの式はかくて導出する
●一方の球の曲率が負でも恐れることはない
●同理論による計算結果はFEMによる解析結果とよく一致する
前回は,120年前に構築された「ヘルツの接触理論」による計算結果と有限要素法(FEM)による解析結果がかなりよく一致することを確かめました。これまで通り,接触応力を求める際には,この理論を使い続けて問題はなさそうです。ということであれば,やはりヘルツの接触理論をきちんと理解しておきたい。今回の主眼はそこに置きます。
まず,ヘルツの接触理論で導かれた式を復習しておきましょう。前回と同様,半径R1,縦弾性係数E1,ポアソン比ν1の球IIと,半径R2,縦弾性係数E2,ポアソン比ν2の球IIがz方向荷重Pを受けて接触している状態を考えます(図)。
図●z軸方向に荷重Pが作用する球と球