日経ものづくり 開発の鉄人

第30回 それでも焼きますか

「開発の鉄人」こと 多喜 義彦

セラミックス製部品を機械加工で造る。
常識では「やってはいけないこと」だ。
それに挑むのがアステック入江。
図面があれば10日で製品を納める。
試作では型代が要らない分だけ安く,
早くできる。
企画次第では試作でなく,
最終製品にも乗り出したいという。


 セラミックスは削るものじゃない。焼くものだ。常識だよ。“やきもの”なんだからね。この仕事をしていて思うけど,常識って,破るためにあるんだ。
 アステック入江という会社が北九州市八幡区にある。支店が大分と光に,工場が広畑にある。これだけで想像できるでしょう。新日本製鉄関連を中心に仕事をしている(図)。設備の設計とか製作,据え付けまでやる。ここが,セラミックスの機械加工で事業を拡大してきた。
 セラミックスを1品でも機械加工する。セラミックス・メーカーから板材とか棒材とかの形で買ってきてね,顧客の図面通りに加工する。切断からラップまで,いろいろな工程があるんだけど,メインは研削だね。11台あるマシニングセンタをグラインディングセンタとして使い,3次元加工する。ほかに平面研削盤,円筒研削盤,センタレス研削盤などがあり,研削は何でもできる。さらにラッピング,レーザ加工,ワイヤ放電加工などをする設備を持っている。要するに,何でも

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図●転炉スラグを処理する工程