日経ものづくり 詳報

松下が進める生産革新
視点を変えてムダを「見える化」

監視用カメラを流用して改善システムを構築

 松下電器産業の社内分社であるパナソニック システムソリューションズ社(以下,PSS社)が,監視用カメラを利用した生産革新で成果を上げている。肉眼では見逃されていたムダも徹底的に省き,2005年度は金額換算で生産性を24%高めた。2006年度も同様に20%の改善を目指している。
 ビデオカメラを用いてラインや作業に潜むムダを探すという手法自体は,それほど目新しくない。IEやVEでは,むしろ当たり前のように行われていることだ。
 PSS社の主要生産拠点である佐江戸地区(横浜市)の工場においても,ハンディー型のビデオカメラで作業や動線(作業者や仕掛かり品が移動する軌跡)を記録・分析し,改善活動に役立てようとした。
 だが,結果的にはあまりうまくいかなかった。ビデオカメラを向けられると,作業者が「構えて」しまい,普段より作業態度を良く見せようとしてしまうからだ。本当に記録したいのは日常的な作業風景。真の姿を認識できなければ,改善は進まない。その点,天井に取り付けられる監視用カメラは,その存在を作業者が意識せずに済むという点で優れている(図)。

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図●PSS社佐江戸地区の工場の様子
(a)がライン,(b)が「監視室」の様子。ラインの天井には監視用カメラが取り付けられている。