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ケイ・ティー・エス

熱電対加工のケイ・ティー・エス 自社製の機械や治具で差異化

 ケイ・ティー・エス(以下,KTS)は,中高温領域を中心に工業用温度計として最も多く使われる熱電対専門の加工会社。1983年に温度制御機器商社の協伸特殊金属が母体となって設立された。この際,鋼材メーカーの古河テクノマテリアルや,自動車部品メーカーのナイルスなどの強い後押しがあったという。
 実は,これらの企業では当時熱電対を内製していたが,生産効率を改善できずに悩んでいた。とはいえ,熱電対の品質は加工精度によって大きく左右されるため,安易に外注するわけにはいかない。そこで,温度制御に関するノウハウを持つ協伸特殊金属に加工会社設立の白羽の矢が立ったのである。
 KTSでは,材料や部品類を仕入れてから完成品に仕上げるまでの一連の加工/組み立て業務を手掛け,小口を除く完成品の大半は熱電対メーカーにOEM供給している。そんな同社の強みは,手加工による組み立てが主流の業界にあって,早い時期から機械加工に取り組んできたこと。これにより,1~2本の小口需要から400~500本単位のロット生産まで,小回りの利く対応が可能になった。「高品質な製品をいかに迅速に造るか。これが創業来のテーマ」(KTS社長の塙勇二氏)だ。

品質に万全を期す
 異なる金属(素線)の先端同士を接続して一つの回路(熱電対)を形成し,二つの接点に温度差を与えると,回路に起電力が発生する。この現象が「ゼーベック効果」と呼ばれ,それを利用した温度計が熱電対である。
 工業用温度計には熱電対以外に,サーミスタ,測温抵抗体,バイメタルなどさまざまあるが,これらの中で最も広い温度範囲に対応できるのが熱電対である。例えば,白金ロジウム合金と白金を使用した標準的なJISのRタイプなら0~1400℃に及ぶ。

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●シース熱電対