日経ものづくり 事故は語る

紙用シュレッダで幼児が指を切断
利用状況への配慮不足が招く

2006年8月23日,経済産業省は紙用シュレッダによる幼児の指切断事故が相次いで発生していることを明らかにし,業界団体に対して再発防止策の検討を要請した。一方,国民生活センターは家庭で使われる可能性があるシュレッダ16機種を選んで安全性に関するテストを実施。うち7機種で,指の引き込みの可能性があるという結果が出た。

 紙用シュレッダの投入口に指が入り,幼児が指を切断してしまうという事故が相次いで発生した。2006年3月10日には2歳の幼児が指を9本切断,同年7月15日には同じく2歳の幼児が指を2本切断するという事故だ。
 事故を重く見た経済産業省は,早急に再発防止へ取り組む必要があると判断。同年8月23日,業界団体であるビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)および全日本文具協会に対して,紙用シュレッダによる事故発生状況の調査,幼児による事故の再発防止策の検討を要請した。
 両団体はまず,加盟各社から「可能な限り過去にさかのぼって」(JBMIA)事故情報を収集し,2006年9月12日に調査結果を公表した。それによると過去に発生した事故は30件以上に上る。被害者の過半数である19人は子供だった。
 子供の事故は,事務所に同伴した子供から保護者が目を離したすきに発生したものが多いという。紙用シュレッダでは大人の体格を基準に設計されており,基本的に子供が装置に触れることを想定していない。子供を近づけない,使用後は電源を切る―といった利用上の注意を大人に対して周知徹底するだけでなく,万一の事態を想定した根本的な安全対策の不足が背景にありそうだ。

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図●試験したシュレッダ
家電量販店やホームセンターで購入可能なために家庭で使用される可能性のあるシュレッダの中から,紙の細断方式や枚数の違いなどを考慮して16製品を対象とした。