日経ものづくり 特報

設計と製造の連携構築

現実の手段となったPLM


日本の強みである,設計部門と製造部門の連携。これを下から支えるのが最近の日本企業のPLM(製品ライフサイクル管理)だ。設計開発と生産移管のためにいかなる枠組みを用意するか。PLMの取り組みは,実際に設計を始める前が勝負になってきている。「PLMコングレス2006」での講演に,最近の取り組みを見た。

 PLM(製品ライフサイクル管理)の狙いが明確になってきた。その最大のものが設計と製造の連携。製品のライフサイクル全体を管理する,というPLM本来の概念からは一見狭く思えるかもしれないが,実はそうではない。設計から製造へ移管される前後の期間で生じる技術情報は,すべての基本になるからだ。
 先進ユーザーの取り組みには,例えば以前PDMが単にPLMと名前を変えただけのときには見られなかった,着実な進歩が見られる。以下,本誌主催のセミナー「PLMコングレス2006」の主催者セッションから,「設計と製造の連携」「設計前の取り組みで設計品質を向上」というテーマで,最近のPLMの進展を見ていく。PLM関連セミナーに5年ぶりに参加したというある技術者は「5年前の難問が解決している」と感じたという。

設計と製造の連携
 本誌による調査でも,PLM構築目的の第1位が「設計と製造の連携」になった。どのような情報を,どう共有すればよいかが明らかになってきたとみられる。また従来,設計部門が半ば孤立して取り組んでいた状況が変わり,製造部門が積極的に関与するようになった。
 設計と製造が緊密に連携して高品質なものを造っていくことは,日本が強みを発揮しやすいところであり,工場の国内回帰がここ数年進んでいる理由の一つとも言われる。PLMシステムは日本の強みを支える存在に変わりつつある。

日経ものづくり 特報
図●BOMを中核としたビジネスプロセスの概念
QCDEをいかに前工程で高めるか(前始末)がカギを握る。そのためには,E-BOMの段階で,十分に吟味する必要がある。三菱電機情報ネットワークPDM推進プロジェクトグループの前川宗久氏の講演資料から。