日経ものづくり 詳報

ちりを99.999%シャットアウト
クリーンルーム向けの技術を家庭に

プラズマで帯電させて小さな粒子を凝集する日立の掃除機

 日立アプライアンスは,直径0.3μm以上のちりを捕捉する率(補じん率)を99.999%にまで高めた紙パック方式の掃除機「CV-PK500(きれい宣言)」を開発した。アレルギーの原因となるダニや細菌,カビなども捕らえる「世界で一番きれいな排気」(同社)を目指した掃除機だ(図)。
 補じん率を高める工夫は(1)高性能紙パック「ナノテクスーパープレミアム衛生フィルター」と(2)「プラズマHEPAエンジン」―の二つにある。吸い込んだちりやほこりは,まず新開発の(1)で集じんされる。(1)は「消臭・抗菌効果層」「超極細強力帯電層」「特殊強化層」の3層から成る。静電気でちりや細菌を捕捉する超極細強力帯電層は,帯電したちりがほかのちりを引き寄せ,同社従来製品の約20倍の補じん性能を持つ。細菌も99.9%はこのフィルタで遮断されるという。
 紙パックを通過した微細なちりをさらに捕らえるのが(2)。流路内にプラズマ放電ユニットを備えており,ここから200万個/秒のマイナスイオンを放出して,プラスに帯電しているちりを結合して大きくする。その上で,帯電量と繊維径が異なる2種類の帯電層を組み合わせたHEPAフィルタが,大きくなったちりを静電気で引き寄せて捕集する。
 さらにファンモータを気密ケースで覆うなどちりを逃さないようにしている。「クリーンルーム用の掃除機で培った技術を応用した。家庭用に小型化するのに苦心した」(同社)。こうした工夫により,3000万個の粒子を吸い込んだ場合に1分間で排出する0.3μm以上の粒子を205個に抑制。従来(約90万個)の約1/4400となった。

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図●ちりやほこりを99.999%捕集する日立アプライアンスの掃除機