民生用プロセサが続々進出

世界中のスーパーコンピュータの演算性能上位500台をランキングした「TOP500」。2004年11月から2年間トップの座を守り続けているのが,米IBM Corp.が開発し米Los Alamos National Laboratoryに納入した「BlueGene/L」である。浮動小数点演算性能は280.6TFLOPSで,「地球シミュレータ」の約8倍に当たる。

第1部<トレンド>
始まる異分野の融合で汎用技術が急速に進化

 マイクロプロセサの共用によって始まった,スーパーコンピュータと民生機器の「邂逅(かいこう)」。これをキッカケに,今後はチップ周辺の実装技術からネットワーク技術に至るまで,民生機器とスーパーコンピュータの接点は急速に増えていく。機器全体のシステム構成を形作る「中核」といえるマイクロプロセサは,その周辺技術を確実に巻き込んでいくからである。

第2部<技術>
マイクロプロセサから始まる開発 性能向上や大幅コスト低減に道

 民生機器とスーパーコンピュータの双方に搭載することを想定したマイクロプロセサ。BlueGeneに採用された「PowerPC 440」や,米IBM Corp.が1.6PFLOPSを目指して開発に着手したスーパーコンピュータに「AMD Opteron」とともに搭載する「Cell」に続くべく,開発が活発になっている。

 例えば,米University of Texas が米国防総省のDARPA(Defense Advanced Research Projects Agency)の支援の下に,IBM社と共同開発しているマイクロプロセサ「TRIPS」。家電やパソコン,高性能コンピュータまで幅広い用途を想定しており,1チップで5TFLOPSの演算性能を実現する。2006年中にも試作チップが完成する予定だ。