国内半導体メーカーが長期の低迷から抜け出せない。2005年度には,NECエレクトロニクスとエルピーダメモリが赤字に転落した。これに対して,Samsung Electronics社やIntel社といった海外勢は,営業利益率30%前後の高収益を維持している。この利益率の差は投資余力の差となって表れ,ますます高収益企業との差が広がりそうだ。2006年度における国内半導体主要7社の設備投資費は初めて1兆円を超える見通しだが,Samsung社やIntel社はそれぞれ単独で7000億円を投じるなど,1社当たりの投資規模では大きく見劣りしている。なぜ,国内半導体メーカーは利益率が低迷しているのか。日立製作所の半導体技術者だった同志社大学 技術・企業・国際競争力研究センターの湯之上隆氏が,国内半導体メーカー復活への処方箋を提示する。 (浅川 直輝=本誌)

湯之上 隆
同志社大学 技術・企業・国際競争力研究センター(ITEC)
COEフェロー
長岡技術科学大学 極限エネルギー密度工学研究センター 客員教授

本稿は,以下の研究成果に基づく。(1)平成16年度NEDO産業技術研究助成・研究テーマ「技術力から見た日本半導体産業の国際競争力」。(2)平成18年度・科学研究費・基盤研究B・研究テーマ「半導体コンソーシアムおよび合弁会社の研究」。