日経ものづくり キラリ輝く中小企業

中日クラフト

クロムめっきの中日クラフト
金型の総合サービスを志向

 中日クラフトは,板金プレス用金型などへの硬質クロムめっき加工を主な業務とする。クロムめっきには潤滑性・耐摩耗性を上げ,加工時の金型表面の焼き付けや製品の損傷を防止する効果があり,同社は自動車メーカーや部品メーカーなど自動車関連を中心に多くの顧客を持つ。
 創業は1971年で,当初はプラスチック射出成形用金型へのクロムめっき加工が中心だった。1980年代に入ると同分野での材料や機械開発が進んでめっき加工が不要になったことから,以降軸足を金属加工に移した。

めっき液を独自に開発
 中日クラフトの強みは,大小さまざまな電極を操る職人技的な能力と,めっき液など新技術の開発力を併せ持つことだ。硬質クロムはめっき加工の中でも“付きまわりの悪いめっき”といわれ,めっきを金型の表面に均一に施すのは容易ではない。凸の角にはめっきが厚く付くが,溝形状では薄くなりやすく,製品の形状によって品質が左右される。高品質のめっきを施すにはさまざまな工夫や経験が必要だ。
 大小さまざまな電極を巧みに組み上げる技能もその一つ。例えば幅2mm,深さ5mmの微細な溝へめっきを施すには,径の太さが50μmという髪の毛並みに細い電極を溝ごとに1本1本に配置しなければならない。「それが行えるのは当社だけ」と中日クラフト社長の毛利陽一氏は胸を張る。微細加工のみならず,同社では大きなものでは縦5800mm,横3300mm,高さ2000mm,重さで20tまで対応している。
 新しく開発した技術の代表が,2年前に開発した「クロマックス」。硬質クロムめっきを改良して機能を向上させたもので,従来の硬質クロムめっき(同社製)に比べて,硬さ(Hv=ビッカース硬さ)が1200と約20%向上させ,耐摩耗性で2倍の性能を実現した。1年前から本格的に手掛け始め,「自動車関連メーカーから高い評価を得ている」(毛利氏)という。

日経ものづくり キラリ輝く中小企業
●硬質クロムめっき加工を施した製品


ラフォーレエンジニアリング

太陽光採光装置のラフォーレ
太陽の恵みを室内に届ける

 自然光の新しい価値を生み出す太陽光採光システム。ラフォーレエンジニアリングは,そのパイオニアとして知られる企業だ。採光システムは,人工照明では得られない快適な自然光の環境を提供する。太陽光を積極的に採り入れるために,光を自動追尾する駆動システムを組み込み,日の出から日没まで効率よく採光する。
 採光システムには,ミラー反射やプリズム屈折など幾つかの方式があるが,ラフォーレのそれは光レンズ集光方式と呼ばれる。多数のレンズを使って太陽光を集め,光ファイバを介して光を目的の場所に伝送する。「他の方式だと,採光場所と受光場所との間に遮へい物があると使えないが,光ファイバ伝送なら地下だろうが海中だろうが,どこへでも光を届けられる」と同社は胸を張る。
 装置名は「ひまわり」。1979年に,森ビル創業者の森泰吉郎氏の長男で当時慶応義塾大学教授だった森敬氏が,1眼レンズによる初のモデルを開発したことに始まる。1985年のつくば科学万博では政府テーマ館に展示され注目を浴びた。当初の目的は,ビル(森ビル)の建造に伴って浮上していた日照権問題の対策だったが,研究開発を進めるうちに太陽光利用の大きなポテンシャルを実感し,1978年にラフォーレエンジニアリングを創業した(設立は1991年)。森氏は最近はやりの学者ベンチャーのはしりだったわけだ。
 残念ながら,森氏は1990年に他界したが,その後もひまわりの技術革新は進み,現在では集光レンズ6枚の「ミニひまわり」から,198枚の大規模システムまで幅広いラインアップをそろえる。「森氏の遺志を継ぎ,太陽の恵みを地球上のすべての生命活動に有益に生かしたい」とラフォーレエンジニアリング3代目社長の山田光茂氏は抱負を語る。

日経ものづくり キラリ輝く中小企業
●屋上に設置された「12眼ひまわり」