日経ものづくり 詳報

複雑な電波腕時計向けモジュールで
カシオが消費電力を抑えて世界最小に

電力確保と質感維持,太陽電池駆動故の二律背反の課題

 カシオ計算機は,太陽電池充電駆動の,クロノグラフ機能付きアナログ電波腕時計向けとしては「世界最小」となる駆動装置(モジュール)「QW-4740」を開発した。この種のアナログ電波腕時計向けモジュールの従来の大きさが直径31×厚さ4.5mmであるのに対し,新しいモジュールは直径28×厚さ4.0mmと一回り小さくなった。同社では2006年10月発売のクロノグラフ機能付きアナログ電波腕時計「LILANA」に搭載し,小ささを武器に女性需要を開拓していく(図)。
 新しいモジュールは,従来の直径31×厚さ4.5mmの「QW-4329」をベースに開発された。太陽電池充電駆動のモジュールを小型化する難しさは,所定の電力を確保する点にある。
 電力は,ポリカーボネート(PC)製の文字板の光透過率と,その下に配置する太陽電池パネルの面積で決まる。モジュールを小さくすれば,太陽電池パネルの面積も減る。それを補うために文字板の光透過率を上げようとすれば,下の太陽電池パネルが透けて見え,時計の顔である文字板の質感を落としてしまうことになる。
 結局,この種のモジュールを小型化しながら質感を保つためには,電力は増やせない。すなわち,省電力しかなかった。

日経ものづくり 詳報
図●「QW-4740」を搭載した女性向けの電波腕時計「LILANA」
3モデルあり,写真は文字板に白蝶貝を用いたモデル「LNA-100DDJ」。価格は5万2500円(税込み)。