日経オートモーティブ 連載

事例に見るPLM活用・第4回

設計者が使うCAE
吸排気の流れを可視化

富士重工業は既存のツールを使いながら、ウイザードにより解析条件を設定することで、エンジン設計者が手軽に吸排気ポートの定常流れ解析をできる仕組みを整えた。CAE部門とのやり取りを削減でき、仕様の検討時間を半減した。

富士重工業
スバル技術本部CAE部
後藤 大輔


 エンジンの開発においては高出力、低燃費、排ガスのクリーン化、低騒音・振動などさまざまな要求を満たす必要があり、これらをいかに早く、より効率的に実現できるかが課題になっている。こうした要求に応えるため、当社では設計初期段階における仕様検討を充実させ、無駄な試作を減らすことを目的に、CAEを適用して開発プロセスを効率化する活動を進めている。
 筆者が所属するCAE部は、エンジンの設計や実験を担当する技術部門の中にあり、CAE技術の開発や製品開発への適用を担ってきた。これまでの解析のほとんどは解析専任の担当者による複雑なものであり、主に詳細設計段階での仕様検討に効果を発揮していた。しかし、形状を大幅に変更することや、長時間かかる大規模な解析を繰り返すことには限界があった。
 そこで、最近は構想設計段階において、短時間で実行できるCAEを活用することの重要度が高まっている。特に、パワーユニットを開発する設計者が自らCAEを駆使して仕様を決定することができれば、初期段階の設計の完成度を高められる。